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155ヵ国要人 広島訪問 戦後に大使級以上 国連加盟の8割 本紙調べ

 広島市に戦後、少なくとも155カ国の要人が訪れたことが1日、中国新聞の調べで分かった。いずれも大使級以上。うち閣僚級以上は4割の82カ国だった。近年は年間訪問数も50~60人台。核兵器が市民に対して初めて使われた地で、被害の実態に触れる動きはなお広がっている。(田中美千子)

 市国際交流課が保管する、1957年以降の原則、大使級以上の訪問記録を基にまとめた。60年代は記録が残っておらず、国の数はさらに上回る可能性もある。元職や国会議員はカウントしていない。

 訪れたのは、国連加盟192カ国(日本を除く)の8割。核兵器保有5大国では米国の9回を最多に、ロシア、英国、フランス、中国も複数回来た。閣僚級は87年の中国の文化相の記録があった。

 ほかの国で、首脳級はインド・ネール首相(57年)、ペルー・フジモリ大統領(95年)、オーストラリア・ラッド首相(2008年)、アフガニスタン・カルザイ大統領(10年)たちだった。要人が来ていないのは西インド諸島の小国や、アフリカの発展途上国が目立つ。

 90年代の年間訪問者数は10~20人程度だったが、2000年代に急増。市が平和記念式典への案内状を98年から全核兵器保有国へ、06年から東京に大使館がある全ての国に送っているのも背景にあるとみられる。

 松井一実市長は11年の就任時から「迎える平和」を掲げ、国際会議の誘致に力を入れ、各国政府の広島訪問を働き掛けている。市平和推進課は「全ての国の為政者が広島で被爆者の体験や思いに触れ、核兵器廃絶へ積極的に動いてほしい。核超大国のオバマ米大統領たちに引き続き呼び掛ける」としている。

(2014年8月2日朝刊掲載)

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