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米臨界前核実験 抗議続く 被爆者座り込み 広島

■記者 金崎由美

 米国が9月15日、オバマ政権では初となる4年ぶりの臨界前核実験を実施したことが明らかになり、広島県被団協、連合広島などは14日、平和記念公園(広島市中区)の原爆慰霊碑前で正午すぎから約30分間、抗議の座り込みをした。

 県原水禁、核禁会議を含め約90人が参加。連合広島の伊丹幸男会長は「核兵器廃絶を目指す流れの中での強行であり、許されない行為」と批判した。

 県被団協の坪井直理事長は、「核兵器なき世界」を掲げるオバマ大統領への失望感をあらわにし「ノーベル平和賞を返したらどうか。『オバマ大統領よ、おまえもか』という思いだ」と語気を強めた。

 また、坪井氏が代表委員を務める日本被団協は14日、臨界前核実験を非難するとともに、核兵器廃絶の国際条約の実現に向けた多国間交渉を開始することなどを求めたオバマ大統領あての抗議文を在日米大使館に送付した。 

三次市長「中止強く求める」

 米国が臨界前核実験を9月に実施していたことを受け、三次市の村井政也市長は14日、オバマ大統領あての抗議文を在日米大使館に送った。

 抗議文は、実験が大統領の掲げる「『核兵器なき世界』に逆行する」と指摘。「すべての核実験の中止を強く求める」としている。

市民団体「悲惨さ理解せず」

 市民団体の核兵器廃絶をめざすヒロシマの会(共同代表・森滝春子氏たち4人)は14日、「ヒロシマ・ナガサキに投下した原爆がもたらした核兵器の未曾有の非人間的な悲惨さを理解していない」などとする抗議声明を発表した。在日米大使館、首相官邸、外務省に送った。

長崎市長「期待裏切った」

 長崎市の田上富久市長と吉原孝市議会議長は14日、米国の臨界前核実験に対し「あらゆる核実験を中止し、核兵器のない世界の実現のため指導的役割を果たすよう強く求める」とする、オバマ大統領あての抗議文を米大使館に郵送した。

 ルース駐日米大使が9月に長崎市を訪れ原爆資料館を視察するなど、核廃絶をめぐる米国のリーダーシップに期待が高まっていたが、今回の核実験は被爆者や長崎市民の核なき世界への期待を裏切ったと強く批判している。

 また田上市長が会長を務める日本非核宣言自治体協議会(268自治体)も14日、米大使館に抗議文を送った。

志位氏「政権誓約反する」

 共産党の志位和夫委員長は14日午後、国会内で記者会見し、米国の臨界前核実験について「核兵器のない世界を目指すというオバマ政権自らの誓約に反する。強く抗議する」と述べた。

 日本政府が抗議しない考えを示していることについては「被爆国の政府が抗議の一つも言えないのは情けない。核抑止の呪縛(じゅばく)にとらわれている」とも批判した。

(2010年10月15日朝刊掲載)

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