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社説・コラム

2014平和のかたち~ヒロシマから 広島市立大4年・岡本はづきさん 

関心広げ自分の意見を

 高校3年の夏、学校の図書館でパレスチナ自治区のインティファーダ(反イスラエル闘争)を取り上げた新書を何げなく手に取った。そこに書かれていた「友達と遊ぶより、(イスラエル兵に)石を投げたい」という子どもの言葉が胸に刺さった。何がそんな気持ちにさせるんだろうと。紛争問題や平和に関心を持つようになったきっかけだった。

 自分の目で確かめたくて大学3年の3カ月間、インターンシップで現地に滞在した。演劇や人形劇を通じて、ストレスを抱える子どもの心を和らげる「ドラマセラピー」の手法を、教員や社会福祉士たちに教える活動を手伝った。教育現場では教員が足りずに負担が重く、ストライキが起こるのも珍しくなかった。

 難民キャンプでも1週間ほど過ごした。爆音が頻繁に響く。でも家事の手や会話が止まるのはほんのわずかな間だけ。イスラエル政府に反対するデモもあちこちで起こるけど、日常の光景。それが当たり前になっているのが怖かった。特に子どもは、心のケアが行き届かずに傷を抱えたまま大きくなるんじゃないかと、とても不安になった。

 私は8月6日生まれ。何かの縁だとは思う。平和の意味をずっと考えているが、なかなか分からない。でも、紛争で心を圧迫されているパレスチナの人々の姿を知り、誰もが心に傷を抱えず、穏やかに毎日を過ごせる世の中になればいいと願っている。

 そのためには、パレスチナに限らず世界情勢に関心を持ち、自分にできることを行動に移すことが大事。食料などの物資、医療、心理ケアなどそれぞれの分野で支援をしていければいい。自分なりの考えや意見を持つ人が増えるだけでも世の中は変わると思う。

 ドラマセラピーをもっと勉強して、何か人の役に立つことが目標。秋の学園祭では、パレスチナの現状を紹介する写真展も開きたい。生活し、目にしたありのままを伝えたい。(聞き手は和泉恵太)

おかもと・はづき
 広島市安芸区出身。安芸南高を経て広島市立大国際学部に進学。昨年9~12月、パレスチナ・ヘブロン県にあるNPO法人ピースビルダーズ(広島市南区)の事務所で活動した。21歳。

(2014年8月5日朝刊掲載)

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