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69年 誓う核廃絶 広島きょう原爆の日

 多くの命や生活を奪い、遺伝子をも傷つける原爆を人々の頭上に初めて、米国が投下して69年。広島市は6日午前8時から、中区の平和記念公園で原爆死没者慰霊式・平和祈念式(平和記念式典)を営む。痛ましい被爆の記憶の中に、亡き人を悼み、核兵器のない平和な世界の実現を誓う一日となる。(岡田浩平)

 式典には、被爆者や、41都道府県の遺族代表たちが参列。国内から安倍晋三首相、伊吹文明衆院議長、海外から米国のキャロライン・ケネディ駐日大使をはじめ68カ国と欧州連合(EU)の代表がそろう。

 この一年で亡くなったか、死亡が確認された広島原爆の被爆者は5507人。名前を追記した原爆死没者名簿を松井一実市長と遺族代表2人が原爆慰霊碑の石室に納める。名簿は3冊増え107冊、29万2325人分になった。長崎原爆の死没者の1冊もある。遺族代表の歯科医師加藤千季(かづき)さん(29)=中区、こども代表の戸坂小6年岡野初衣(うい)さん(11)=東区=が突く「平和の鐘」に合わせ、原爆投下時刻の8時15分から1分間、黙とうする。

 続く平和宣言で、松井市長は元動員学徒や原爆孤児たち4人の体験を紹介。「絶対悪」の核兵器をなくすため、武力ではなく、人同士のつながりを大切にした「未来志向の対話」を世界で広げるよう呼び掛ける。

 オバマ米大統領をはじめ核兵器保有国の首脳に、被爆地の訪問と、核兵器の「脅し」による安全保障政策からの転換を要求。日本政府には、「憲法の崇高な平和主義」のもと69年間戦争をしてこなかった事実の重みを指摘し「名実ともに平和国家」として歩むよう訴える。

 被爆地で批判の声が根強い集団的自衛権の行使容認には直接触れない。2011年3月の福島第1原発の事故が起きてから3年続けて盛り込んでいたエネルギー政策のくだりもない。

 こども代表の「平和への誓い」は尾長小6年牟田悠一郎君(11)=東区=と、牛田小6年田村怜子さん(11)=同=が読み上げる。安倍首相、広島県の湯崎英彦知事があいさつに立ち、国連の潘基文(バンキムン)事務総長のメッセージをアンジェラ・ケイン軍縮担当上級代表が代読する。

 式典が雨の中で開かれれば、市の記録では、1946年に「平和復興市民大会」として始まって、71年以来2度目となる。

(2014年8月6日朝刊掲載)

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