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「あの日」母のおなかに 胎内被爆者連絡会が発足

 原爆胎内被爆者全国連絡会が5日、発足した。広島市中区であった初会合には広島、愛媛、香川、奈良、東京の5都県から22人が参加。母親たちの記憶と平和への思いを次代へつないでいくことを決めた。

 胎内被爆者は広島、長崎へのそれぞれの原爆投下時に母親のおなかの中にいた人たち。つながりを広げ、証言や、自分史づくりなどの活動を進める方針を確認した。原爆投下前に生まれた同学年の被爆者の入会を認めることも決めた。

 順に自己紹介し、参加を決めた経緯や思いも明かした。

 安佐南区の森川武則さん(68)の母親は市中心部に勤めていた姉を捜しに入市し、被爆した。「被爆死した姉の話を質問すると両親とも涙ぐみ、何も聞けなかった」と振り返った。「後世に伝える役に立てれば」と参加を決めたという。

 病気への不安、自身に記憶がない戸惑いなども分かち合った。胎内被爆し、生まれつき知能や身体に障害がある原爆小頭症患者との連携を求める声も出た。

 昨秋発足を呼び掛けたのはいずれも胎内被爆者で、香川県坂出市の好井敏彦さん(68)と広島市西区の三村正弘さん(68)。次回会合は1年後、広島市で開く。三村さんは「仲間を増やし、最年少の被爆者として再び被爆者をつくらないための活動を進めたい」と話した。(田中美千子)

(2014年8月6日朝刊掲載)

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