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そろって参列「感謝」 広島の被爆69年式典 茨城・栃木の遺族代表・木村さん姉妹

 「あの日」を追悼する人々を雨が包んだ6日朝、広島市中区の平和記念公園一帯では、被爆者や遺族が祈りをささげ、ヒロシマの子どもたちは平和への願いを世界中に伝えることを誓った。

 原爆に遭った母をしのび、姉妹が初めてそろって平和記念式典に参列した。茨城県の遺族代表、木村美子さん(72)=鹿嶋市=と、栃木県の遺族代表、木村和子さん(70)=小山市。母から体験を聞かされなかった姉、わずかに聞いた妹。2人は記憶をつむぎ、核兵器の悲惨さを伝える思いを胸にした。

 式典会場で並んだ2人。「そろってここに立てて感謝しているよ。会いたいよ」。「やっと来られたよ」。姉妹から母を思う言葉があふれ出た。

 母三宅道子さん(1985年に74歳で死去)と姉妹は爆心地から約2キロ、親戚がいた浄光寺(現南区)に身を寄せていて被爆した。二葉山(東区)の広島東照宮へ逃れたという。

 あの日、母に背負われた妹は、「水をくれ」と足をつかまれた体験を大人になって母から聞いた。姉は、寺の裏で遺体が焼かれた様子などを親戚から伝え聞いただけ。あまり話さなかった母を「つらかったのだろう」と今、思いやる。

 今回、姉が遺族代表に決まったのを聞いた妹も遺族代表に手を挙げたという。久しぶりに参列した美子さんは「被爆者として、若い世代に核の恐ろしさを伝える責任を感じる」。初参列の和子さんも「原爆の悲惨さを伝えたい気持ちが強くなった」。母のぶんまで語り継ぎたいという。(西村萌)

(2014年8月6日夕刊掲載)

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