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ヒロシマの願いを新潟へ持ち帰る 遺族の2世・西山さん 初参加の8・6式典で決意

 黙とうを終え、そっと目頭を押さえた。平和記念公園での平和記念式典に、新潟県の遺族代表として初参加した西山謙介さん(66)=長岡市。「この場で吹き込まれたヒロシマの思いを、当事者として共有したい」。県原爆被害者の会事務局次長として、故郷で活動の根を広げると誓った。

 陸軍の暁部隊にいた父喜代次さん=当時(28)=は比治山で被爆し、その体験を語らぬまま57歳で亡くなった。長岡市役所に勤めた西山さんは、被爆2世という意識こそあったが、平和活動は組合運動の一環として関わる程度だったという。

 初めて平和記念公園を訪ねた6年前。原爆慰霊碑を前に突然涙があふれた。「おやじは確かにあの日、ここで生きていた。悲惨の極みを体験した」。原爆と向き合おうと決め、会を手伝うようになった。

 被爆70年を過ぎたら会は代替わりし、事務局長になる予定だ。やはり式典に出席した南七郎会長(90)は「頼りにしてるよ。こういう若い人がいてくれないと」。先輩のエールに「もう少し、一緒に頑張りましょうよ」と応じた。(加納亜弥)

(2014年8月7日朝刊掲載)

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