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地域の被爆者の記憶追体験 広島の湯来中生徒が朗読

 広島市佐伯区湯来町の市湯来福祉会館で原爆死没者慰霊式と「平和を語る会」があり、被爆者や遺族たち73人が追悼した。語る会では、湯来中の生徒が初めて被爆者の証言を朗読し、地域住民の記憶を追体験した=写真。

 朗読は、町内の被爆者54人の体験を集めて1993年に刊行した「証言 湯来のヒロシマ」から3編を引用。市内の勤務先で被爆してけがを負い、一帯の惨状を目の当たりにしながら郷里にたどり着く様子などを、1~3年生7人と教諭1人が分担して読み上げた。

 3年沖田汰史(たいし)君(15)は「聞くより読む方が様子をイメージしやすかった」、2年松永菜のはさん(14)は「平和を願う思いが詰まっていた。私たちが伝えていきたい」と話した。

 朗読は、被爆体験を若い世代が継承しようと同校が企画した。うち1編の証言者で湯来原爆被爆者の会会員の西耕三さん(84)は「証言者の半数以上が亡くなっている。刊行から21年目に価値を見いだせてよかった」と涙を浮かべた。(桑原正敏)

(2014年8月7日朝刊掲載)

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