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「戦時下の西農生」体験後輩に 同窓会 手記など基に冊子 東広島

 西条農高(東広島市鏡山)の同窓会は、太平洋戦争中の在校生の手記などを集めた「戦時下の西農生」を発行した。当時を語れる卒業生は高齢化で少なくなっており、たくましく生き抜いた体験や貴重な資料を後輩たちに伝えようと企画した。

 A4判、249ページ。1938~56年に卒業した37人が執筆した。一部聞き書きもある。在学中に国策で中国東北部や北海道の農場で農作業をした体験、原爆投下時の救援活動などを回顧。「空腹をこらえ懸命に働いた」などとつづっている。時代背景を伝える文章を編集委員4人が分担し執筆、年表も添えた。

 同窓会は2012年、同校1世紀余りの歩みを紹介する記念誌を発行した。編集に携わった元教頭の実井晃久さん(67)=尾道市=が「書き切れなかった戦時の記録を本にしたい」と協力を呼び掛けた。

 「高齢の身に執筆はきつい」「つらい体験を話したくない」という人もいたが、自宅を訪ねて聞き取りし、記録に残した。

 元校長で編集委員長を務めた田中豊実(とよし)さん(76)=東広島市=は「体験記や写真から平和への願いを読み取ってほしい」と話している。希望者には3千円で販売する。同窓会事務局Tel082(422)7279。(森岡恭子)

(2014年8月8日朝刊掲載)

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