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広島・平和記念式典 首相あいさつに「コピペ」の批判 被爆者「関心の低さ 表れ」

 安倍晋三首相が広島原爆の日の6日、広島市の平和記念式典で読み上げたあいさつが、昨年の文面と酷似していた。5割強が同じ。核軍縮や被爆者援護策などの構成項目も似通っていた。被爆者は「核兵器廃絶への関心の低さの表れだ」と批判。ネット上では「コピペあいさつ」として、比較結果などが拡散している。

 安倍氏が式典に出席したのは2年連続。原爆犠牲者を悼み、戦後の日本や被爆後の広島の復興をたたえるあいさつの最初の3段落は、昨年の「68年前の朝」をことしは「69年前の朝」に変え、「せみ時雨が今もしじまを破る」との表現を省いただけだった。さらに、非核三原則の堅持や核兵器廃絶の実現を誓う終盤部分は、前年と全く同じだった。

 ことしのあいさつにはこのほか、安倍氏が昨年9月に、国連総会の核軍縮に関するハイレベル会合でスピーチしたことや、ことし4月に「軍縮・不拡散イニシアチブ(NPDI)」外相会合を広島市で開いたことを盛り込んだ。原爆症の認定基準を昨年12月に見直した点にも触れた。

 式典会場であいさつを聞いた広島県被団協の坪井直理事長(89)は「形式的で、核兵器廃絶に向けた首相の本気が伝わってこなかった。官僚が前例踏襲で書いたのかもしれないが、情けない」と嘆く。

 もう一つの県被団協(金子一士理事長)の大越和郎事務局長(74)は「原爆慰霊碑の前で平和を祈念する日のあいさつなのに、なめるなと言いたい。『コピペ』で、核兵器廃絶への関心の低さがよく分かった」と憤った。(城戸収、岡田浩平)

(2014年8月8日朝刊掲載)

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