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「核廃絶 取り組み強化」 国連総会議長 原爆慰霊碑に献花

■記者 教蓮孝匡

 元スイス大統領のダイス国連総会議長(64)は28日、広島市中区の平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑に花輪をささげた。日本政府の「非核特使」である被爆者2人の証言を聞いたダイス議長は、「国連として核兵器廃絶への取り組みを強化しなければならない」と決意を伝えた。

 ダイス氏は、中区の広島国際会議場で被爆者2人と面会。広島県海田町の阿部静子さん(83)がケロイドの整形手術を18回も強いられた体験を、長崎市の和田耕一さん(83)は、被爆死した友の最後の様子を語った。ダイス氏は「悲惨な体験をしたにもかかわらず、2人は広島、長崎を離れず証言を続けている。平和への強いメッセージだ」と敬意を表した。

 平和記念公園では、被爆者へ医薬品を届けたスイス人医師のマルセル・ジュノー博士の顕彰碑を巡り、原爆資料館を見学した。ダイス氏は「世界中のトップが被爆者から直接体験を聞けば世界平和につながる」と述べた。

 外務省の招きで26日に来日し、名古屋市での生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に出席。自らが被爆地を訪れることを希望した。国連総会議長の広島訪問は3人目。

(2010年10月29日朝刊掲載)

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