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核に頼らぬ安全保障を 広島円卓会議終了 5ヵ国研究者ら提言

 アジア太平洋地域5カ国の外相経験者や研究者が、核軍縮を議論する広島県主催の円卓会議「ひろしまラウンドテーブル」は4日、各国政府に核兵器に頼らない安全保障の実現を求める提言をまとめ、2日間の日程を終えた。日本、米国、中国の3カ国には、具体的な行動を取るよう要請した。

 日本の川口順子、オーストラリアのギャレス・エバンス、韓国の韓(ハン)昇洲(スンジュ)の元外相3氏や、米中関係を研究する中国の学者たち計13人が参加。広島市南区のホテルで3日から非公開で協議し、4日の終了後に記者会見した。

 英文の提言書はA4判8ページ。核兵器の非人道性を指摘し、各国のリーダーに「広島、長崎を訪問して被爆の悲惨さを理解するべきだ」「核兵器の保持などに頼らず、信頼醸成による地域の安全づくりを」と求めた。

 日米中の3カ国については「(東アジア安定の)鍵になる国」と位置付け、日本には「核兵器を持つ米国と同盟を組みながら、廃絶を訴えるのは矛盾する」と指摘。「核の傘」からの脱却を促した。核超大国の米国にはさらなる削減と、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准を要請した。中国には「米国やロシアと、核兵器増強で張り合うべきではない」と訴えた。

 記者会見で、広島県の湯崎英彦知事は「核兵器廃絶の一歩をどう踏み出すかをまとめた」。東京大の藤原帰一教授(国際政治)は「中国が取るべき政策も具体的に提起できた」と成果を強調した。

 提言書は近く県のホームページで公開する。各国政府にどう伝達するかは今後検討する。円卓会議は、被爆地の果たすべき役割をまとめた広島県の「国際平和拠点ひろしま構想」の一環で、来年度以降も継続する予定という。(野崎建一郎)

(2014年8月5日朝刊掲載)

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