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無効確認求め訴訟 集団的自衛権容認 閣議決定 広島の会社員

 安倍政権が7月に集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更を閣議決定したのは憲法に違反するとして、広島市東区の会社員杉林晴行さん(74)が閣議決定の無効確認を求める訴訟を広島地裁に起こしていたことが11日、分かった。

 訴状では、歴代内閣が自国への侵害を排除する個別的自衛権だけを認めてきた経緯を指摘。密接な関係にある他国が攻撃された場合に、日本の存立が脅かされるなどの要件を満たせば必要最小限度の武力行使を認めるとした安倍政権の閣議決定について「(戦争の放棄と戦力の否認を掲げた)憲法の前文と9条に違反するのは明らか」と訴える。

 閣議決定で変更した点にも「国民投票で過半数の賛成を得るなどの憲法改正手続きを取っておらず憲法に違反する」と主張する。

 杉林さんは1945年7月1日、5歳の時に呉空襲を体験したという。取材に対し「安倍政権は戦争への道を歩んでいる。武力で平和は実現できず、許されない」と語った。

 集団的自衛権の閣議決定後、三重県松阪市の山中光茂市長が無効確認を求める訴訟を起こす考えを表明。元同県職員の男性も東京地裁に提訴した。内閣官房の国家安全保障局は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。(胡子洋)

(2014年8月12日朝刊掲載)

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