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南米被爆者へ新たな支援を 広島県健診団が訴え

■記者 藤村潤平

 南米5カ国の被爆者の健康診断のため、広島県が派遣した医師団が29日、県庁で帰国会見をした。高齢の被爆者が無料の渡日治療を断念し、現地で高額な治療費を負担していると指摘。新たな支援策の必要性を訴えた。

 8~25日までブラジル、ボリビア、パラグアイ、アルゼンチン、ペルーの8都市を2班に分かれて巡回。アマゾン川河口のブラジル・ベレンを初めて訪問した。期間中、94~64歳の計94人を診察。うち3人が、4月から在外申請が可能になった原爆症認定の手続きを近く始めるという。

 医師団によると、胃がんが見つかったサンパウロの男性(73)は、心身の負担が大きいとして渡日治療を断念した。現地の病院で治療すると、500万~600万円掛かる。

 団長を務めた県医師会常任理事の松村誠医師(61)は「高齢化が進み、渡日治療を勧められないジレンマがある。現地での医療費を日本政府が全額負担するなど新たな支援策を考える時期だ」と強調した。

(2010年10月30日朝刊掲載)

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