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広島県立文書館 県職員の原本展示 被爆手記 痛み後世に

 「市内は見渡す限り焼煙濛々(もうもう)」―。被爆30年後に広島県職員が「あの日」を振り返った手記の原本が県庁内に保管されていた。その多くは「広島県庁原爆被災誌」(1976年刊)に収まるが、いずれも校正されたもの。「生の証言」として一部が広島市中区の県立文書館で展示されている。

 県庁は原爆投下時、爆心地の南約900メートルの同市水主町(現中区)にあり、1141人もの職員が犠牲になった。75年、県が生存者や遺族に手記を依頼。422人から寄せられ、うち122人分を「被災誌」に掲載した。原本はその後、県福利課が保管。「後世に伝え残すべき記録」とことし6月末、同館へ移管して整理作業が進められている。

 同館では手記の原本2編を公開している。「全く火煙の海だ」「涙なきを得ない」…。30年たっても忘れられない惨禍や癒えない悲しみが原稿用紙に記されている。このほか、46~47年にまとめられた県職員の原爆犠牲者名簿や被爆時の高野源進知事の手紙も並ぶ。

 同館での展示は22日まで=日曜休館。9月1~19日、写真パネルにして中区の県庁ギャラリーで紹介する=土日休み。(林淳一郎)

(2014年8月12日朝刊掲載)

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