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ナチスの収容所服寄贈 福山の記念館に仏映像作家 「着ていた人 想像して」

 フランスの映像作家フランソワ・ウザンさん(36)が12日、福山市御幸町のホロコースト記念館を訪れ、ナチスの強制収容所に収容された人が着ていたとみられる服を寄贈した。同館は来月にも服を展示。その後は、全国各地の希望団体などに貸し出す予定という。(小林可奈)

 服は縦約70センチ、袖を含めた幅約130センチ。

青と白の縦じま模様でボタン穴が五つある。左胸部分は糸がほつれ穴が開いている。

 フランスで開かれていた市で見つかり、フランスの慈善団体を通じてウザンさんの手に渡ったという。素材や大きさなどから、子どもか女性が着ていた服とみられるという。

 ウザンさんは、ナチスによるユダヤ人大虐殺(ホロコースト)の歴史を福山市で伝える、同館の大塚信館長の活動に共感。2006年、館長を追ったドキュメンタリー作品(約50分)を撮影した。作品はフランスの国営放送で放送されたほか、国際的な映画祭で上映された。

 同館はホロコースト関係の資料300点余りを収蔵、展示しているが、犠牲者の遺品の収集は難しいという。同館であった贈呈式は約60人が出席。受け取った大塚館長は「服を通じ、多くの人たちに平和を訴えていく」と誓った。ウザンさんは「見る人は、着ていた人のことも想像してほしい」と話していた。

(2014年8月13日朝刊掲載)

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