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中国新聞ジュニアライター 谷口 信乃君 中川 碧さん 報告

国際シンポジウム「信頼醸成から核廃絶へ―2015年NPT再検討会議に向けて」

中国新聞ジュニアライター
谷口 信乃君(高校1年)
中川 碧さん(中学2年)

(谷口君)
 私たちは平和について考え、取材し、中国新聞の中で記事を書いているジュニアライターです。2007年1月にスタートしました。

 メンバーは現在38人。 核兵器のない平和な社会を築くため、自ら考え、行動しています。

 私たちは現在、平和に関する一つのテーマを相談して決め、そのテーマに関わった活動をしている人たちに取材をして、考察を行う「peace seeds」という連載をしています。

 取材で出会った人たちから、平和を実現するためには何か行動しなければならない、ということを学んでいます。広島で育った私たちでも知らないことが、まだたくさんあります。私たちは「ジュニアライターこの一作」という、原爆や平和に関する本を紹介するという記事も書いています。ジュニアライター一人一人がみんなに知ってもらいたい本を選び、その本の魅力を記事にしています。

 それともう一つ。「記憶を受け継ぐ」という、被爆者の方に被爆した時の体験や当時の生活を聞き、その感想を記事にするという活動もしています。

 中高生である私たちと同じぐらいの年で被爆し、大変な思いをしてきた人が少なくありません。

 原爆は二度と、決して使われてはならない。戦争は絶対にいけない。被爆者から必ず言われる言葉です。私たちが被爆体験を直接聞くことができる最後の世代でしょう。私たちの書いた記事が、被爆者から話を聞く機会がない読者に届くことは、とても意義があると思っています。

 私たちが書く記事は、原爆や核兵器の問題にとどまりません。3年半前の東日本大震災では、東北に住んでいた多くの人が犠牲となりました。福島第1原発では、放射能が漏れ出し、古里を追われた人が少なくありません。福島で起こったことを知り、身近な核被害を学びました。

(中川さん)
 私たちは、ジュニアライターの卒業生で長崎大学に通う西田千紗さんが、今年の春にニューヨークの国連本部で開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第3回準備委員会に「ナガサキ・ユース代表団」として参加していたため、インターネットのテレビ電話で現地の生の様子を聞きました。

 西田さんによると、核兵器廃絶のため積極的に活動している国もあれば、本会議に欠席し、聞く耳を持たない代表者もいるそうです。また、各国の代表者で広島、長崎に行ったことがある人はほとんどおらず、原爆に対して、抽象的な知識しか持っていない人がたくさんいると聞きました。

 さらに、西田さんは、どの国も核兵器の非人道性は認めているが、自国のことを考えると、核に抑止力がある、という政治的な思惑が絡んで素直な気持ちを言っていないと感じたそうです。

 私は、欠席して聞く耳を持たない代表者がいることを正直、残念に感じました。それに、核兵器の廃絶は、世界の平和のために行うことなのだから、政治的な思惑というものは関係あってはいけないと思います。

 各国のNGOの人々の間では「核兵器の廃絶は絶対必要である」という考えは同じです。。西田さんが日本政府主催の夕食会で各国の軍縮担当官たち150人の前で核廃絶や被爆者についてスピーチしたら、ある国の関係者から「そのまま伝え続けていってほしい。NGOの声が大きくなれば国は無視できなくなる」と言われたそうです。

 広島と長崎では原爆で多くの人々が亡くなりました。今も苦しんでいる人がたくさんいます。核兵器を廃絶するのは難しいかもしれませんが、NGOの人々が団結し、全世界に訴えることができれば、多くの国が考えを変え、核兵器廃絶の方向へ進めることができるのではないのかと思います。

 核兵器を造ったのは人間です。だから、核兵器を廃絶できるのは人間しかいません。私たち一人一人の努力がとても大切であると感じました。

(谷口君)
 広島、長崎はじめ多くの人々が核の被害によって苦しんでいるのに、なぜ、さらなる悲劇を起こし得る核兵器を持ち続けられるのでしょうか。核の保有によって戦争が抑止されるという意見もあります。しかし、核兵器は使ってはならないということが前提にあるべきなのです。そう考えた時、核は本当に必要なのでしょうか。私はそうは思えません。

 核の被害について、実感をもって学んでほしいと思います。二度と繰り返さないために、自分は何をするべきか、考えてもらいたいと思います。そのことが、きっと各国の核兵器の放棄につながっていくはずです。ご静聴ありがとうございました。

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