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全国に咲け 被爆桜二世 広島の安田女子高

■記者 石川昌義

 安田女子高(広島市中区)の生徒会が、校庭にある被爆したソメイヨシノの「二世」を全国の学校に贈ろうと、苗木作りに取り組んでいる。世話を続けることで自分たちも生命の力を学びながら、今秋から届ける。

 爆心地から2.1キロの同高敷地には、被爆当時、中国軍管区工兵補充隊があった。桜は樹高約5メートル、幹回り1.8メートル。62年を経た今春も咲き誇った。苗木作りは、学校を運営する安田学園が昨秋、法政大(東京)の依頼を受けたことがきっかけ。

 この計画を知った生徒会役員が「それなら、被爆桜の力強さを幅広く全国に発信しよう」と1月中旬から独自に取り組み始めた。造園業を営む卒業生の父親から指導を受け、被爆桜の芽を接いだ苗木29本を園芸部の畑に植えた。

 今、高さは約10センチから30センチを超すまでに成長し、4月中旬に芽が出た。役員の3年新谷香奈さん(17)は「思わず『生きてる』と声が弾んだ」。今後は下級生が世話を受け継ぎ、秋から希望する学校へ贈る。すでに生徒会の顧問教諭を通じて岩手や鹿児島県内など約10校から、希望が寄せられているという。

 岡田莉佳子生徒会長(17)は「被爆桜は歴史の証人。各地で二世が根付いたら、そこの学校の生徒と平和について話し合いたい」。役員の3年増田幸恵さん(18)も「いずれは世界中で花を咲かせてほしい」と期待している。

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