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「ゲン」を教材…小学校の半数 松江市教委の閲覧制限1年 市内の小中調査 平和学習で活用

保有校大半 本棚に置く

 松江市教委による漫画「はだしのゲン」の閲覧制限問題の発覚から16日で1年となった。中国新聞が今月実施したアンケートでは、市教委から制限要請を受けた市内の小学校のうち半数近くが「ゲン」を平和学習の教材として活用していることが分かった。(樋口浩二)

 市内の小学校で平和学習の教材として定着していた「ゲン」。閲覧制限問題に関係なく、平和の尊さや戦争の悲惨さを学ぶ作品として評価されている実態が示された格好だ。

 アンケートは6日、図書館を持つ市内の小学33、中学16の計49校に発送。16日までに、89・8%に当たる44校(小学28校、中学16校)が回答した。

 問題の発覚後、小学13(46・4%)中学1(6・3%)の各校が「ゲン」を授業など教育活動で取り上げたと回答。うち小学校1校を除く13校が平和学習の教材に使ったと答えた。市内の多くの小学校は修学旅行で広島市の平和記念公園を訪れており、小学校12校中10校が旅行前後の学習で資料として使ったという。

 一方、閲覧制限問題の経緯や背景、問題点などを授業の題材とした学校はゼロだった。

 また「ゲン」を保有する小学25、中学15の計40校のうち、書架に置く「開架」とするのは39校。小学校1校だけが全10巻の後半6~10巻を「教育的配慮」から書庫に収める閉架としていた。

 自由記述では「市教委の指示で閉架にした姿勢に問題があったと反省している」(中学校長)「内向きの発想からは何も生まれない。風通しを良くし、生産的な議論を大切にしたい」(小学校長)などの声があった。

<「はだしのゲン」閲覧制限問題後の松江市小中学校の対応>(小学28、中学16の計44校回答)

                 小学校 中学校
「ゲン」を保有          25校 15校
開架               24  15
一部閉架              1   0
図書館運営の見直しに着手     17  10
閲覧制限問題を授業の題材にした   0   0
「ゲン」を平和学習など授業で活用 13   1

(2014年8月17日朝刊掲載)

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