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取材して学んだ8・6 キャンパスリポーター報告 

 原爆の日の8月6日を中心に、大学生も市民とともに平和を願う活動に参加した。平和記念公園(広島市中区)やその周辺で、イベント運営を手伝ったり、通訳ガイドに挑戦したり。活動を取材した中国新聞キャンパスリポーターも平和を学び、伝える大切さを実感した。

英語専攻生かしガイド

 安田女子大英語英米文学科の3年生9人が6日、平和記念公園で、通訳ガイドに挑戦した。

 広島市観光ボランティアガイド協会のメンバーと2人一組で外国人観光客に対応した。「原爆ドーム以外に被爆建物はあるのか」「黒い雨はどこに降ったのか」など、寄せられた質問に対するガイドの回答を英語に訳した。

 9人は昨年9月から半年間、同大の留学プログラムを利用して、姉妹校提携している米カリフォルニア州立大で本場の英会話を学んだ。山際雅恵さん(21)は「今後も英語を生かし、多くの人に原爆被害や平和の尊さを伝える手伝いをしたい」と話していた。(安田女子大3年畠山理恵)

畠山理恵(20)

 通訳ガイドをするため訪れた原爆資料館には、海外を含め多くの人が訪れていた。被爆体験をどう継承するかが問題になっている中、関心を持って広島を訪れる人が想像した以上に多く、うれしく思った。今回の経験を生かし、被爆体験や平和の尊さを後世に伝えていくのが私たち若い世代の務めだと思う。

平和願う200本の「花」

 花を描いた白い傘を広げて平和を願うイベント「広島から世界へ。Peace&Flower(ピース・アンド・フラワー)プロジェクト」が5日夜、平和記念公園の元安川親水テラスであった。同日あった「8・6前夜ピースコンサート」のプログラムの一つ。約200人が参加し、200本の「花」を咲かせた。

 傘は、東京在住の2人組アーティスト「ミレイヒロキ」のデザイン。白は「始まり」を、6色ある花は水やオゾン層などをイメージし、未来に向けた愛と平和をテーマにしているという。傘の内側から明かりがともされ、一帯を幻想的に彩った。  実行委員の山下隆視さん(45)が、別のイベントでミレイヒロキの作品に出会ったのがきっかけ。「シンプルながらも作品に込められた思いに共感した」と話す。

 イベントの運営を手伝った広島大4年松本渚さん(21)は「平和に対する意識は誰もが持っているはずだ。こうした参加しやすいイベントを通じて、平和について考える機会をつくってほしい」と話していた。(広島大3年安部大地)

安部大地(20)

 平和に対して自分なりに考えを持つ必要があると感じた。200本の傘が集まって大きな「花」が咲いたように、一人一人が力を合わせれば、きっと大きな力になる。原爆の悲惨さ、戦争のむなしさを胸に刻み、平和を実現するために何ができるかを自問しながら、行動していきたい。

留学生ら遺品に見入る

 県立広島大の日本人学生と中国人留学生の計9人が7日、平和記念公園を訪れるツアーに参加し、平和の尊さについて考えた。

 学生は、日本語や中国語の音声ガイドを聞きながら、原爆資料館を約1時間半かけて見学。熱線で焼け焦げた弁当箱やぼろぼろになった衣服などの展示に見入っていた。犠牲者を追悼するため、原爆慰霊碑に手を合わせた。

 ツアーは、留学生に被爆地としての広島に触れてもらおうと、同大総合教育センターが企画。中には「もっと遺品を見る時間がほしかった」と意欲を見せる留学生もいた。

 1年羅小妹さん(25)は「平和ないまを大切にしなければならないと強く感じた」と話していた。(県立広島大3年藤井緑)

藤井緑(21)

 原爆資料館を一緒に見学した中国人留学生が「広島への原爆投下や復興の歩みについて、知らないことばかりだった。もっと学びたい」と話していたのが印象的だった。私は広島出身だが、原爆や戦争について知らないことがまだまだあることを再認識した。過去のつらい事実を直視し、学び続ける姿勢を持ちたい。

学生70人 感銘と共感

高田陽一朗(19)(広島市立大2年)

 国内25大学の学生でつくるNPO法人アイセック・ジャパンの広島委員会が5~7日、被爆地ヒロシマで企画したピース・プロジェクトに参加した。その2日目の6日の取り組みを報告する。

 この日は朝からプロジェクトの参加メンバー約70人と一緒に、平和記念公園に向かった。公園内のモニターで平和記念式典を見守り、原爆投下時刻の午前8時15分にサイレンに合わせて全員で黙とうした。県外から訪れた一人に、黙とうのとき何を思ったかを尋ねると、「世界の恒久平和と核兵器廃絶を願った」と答えた。とてもうれしく思った。

 式典後、国立広島原爆死没者追悼平和祈念館と原爆資料館へ。展示を見るみんなの表情は真剣そのものだった。原爆の子の像や韓国人原爆犠牲者慰霊碑なども巡った。原爆資料館や原爆ドーム以外にも多くの被爆の痕跡があることに、みんな驚いていた。

 被爆者の証言も聞き、「一人一人が平和について考え、次世代をリードして」との切なるメッセージを受け取った。みんな神妙な面持ちでかみしめていた。

 この日は、原爆ドームの周りにろうそくを並べ、炎のゆらめきに平和への祈りを重ねる「ピース・キャンドル」で締めくくった。一人一人が平和について多くを見聞きした。この企画を通じて、日本全国で平和について学び、真剣に考える場がまだまだ必要だと感じた。

(2014年8月17日朝刊掲載)

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