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県政運営 バランス重視 村岡・山口知事 就任から半年 国策関連は従来踏襲

 山口県の村岡嗣政知事は25日、就任から半年を迎えた。急激な人口減に直面する同県。活力を生み出す手だてとして瀬戸内海沿岸の産業再生を旗印にした故山本繁太郎前知事と異なり、子育て支援や中山間地域の振興など「バランスを重視」(県幹部)した政策を進める。中国電力の上関原発計画(山口県上関町)や在日米軍再編に伴う米海兵隊岩国基地(岩国市)の機能強化など国策に関わる分野では従来の県の立場を踏襲、独自色に乏しい。

 県と全19市町、経済団体など官民の53団体が24日設立した「やまぐち子育て連盟」。山口市での結成フォーラムで、村岡知事は「少子化で県は存亡に関わる岐路に立つ。子育て支援の輪を広げよう」と訴えた。

 長女(10)と次女(2)の2人の娘がいる村岡知事。2月の知事選から子育て施策の充実を訴え、初めて編成を主導した2014年度一般会計補正予算では子どもの急病に対応する夜間電話相談の時間延長などを打ち出した。ある県幹部は「子育てや女性の活躍支援、中山間地域対策は村岡知事の政治銘柄」と説明する。中山間地域対策では5月、県職員を勤務時間中に派遣する応援隊を結成した。

 国土交通省出身の山本前知事は瀬戸内海沿いの製造業強化を最重要視。港湾や道路の整備に力を注いだ。総務省出身の村岡知事は対照的に「一点突破でなく、バランスよく」(別の県幹部)の姿勢だ。「少ない資源で地域の力を最大限に引き出す」と村岡知事。

 一方、防衛や安全保障、エネルギーなど国策に関わる分野では、政府の意向に配慮した姿勢が目立つ。

 上関原発計画では5月、中国電力が申請した公有水面埋め立て免許の延長で可否判断を1年間先送り。7月に始まった米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)に所属するKC130空中給油機15機の岩国基地移転も「沖縄の基地負担を全国で分かち合う取り組みが始まる」と前向きに評価した。

 安倍晋三首相が主導して7月、集団的自衛権の行使容認が閣議決定された際には「国の専管事項でコメントする立場にない」と評価を避けた。自民、公明両党の支援で知事選を勝ち抜いただけに「国政の課題では政権と異なる対応はできない」(自民党県議)との見方が強い。(村田拓也)

(2014年8月26日朝刊掲載)

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