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高橋昭博さんが被爆体験を証言 サミット開会式

■記者 馬上稔子

 「原爆が本当に憎い。でも憎しみを乗り越えていかなければならない」。広島市で12日に始まったノーベル平和賞受賞者世界サミットの開会式で、元原爆資料館館長の高橋昭博さん(79)が被爆体験を語った。傍らには原爆資料館(中区)から取り寄せた亡き旧友の形見の制服があった。

 車いすで現れた高橋さん。原爆がさく裂したごう音ともに真っ暗闇になったことや、全身にやけどを負った人たちが逃げていく惨状を切々と言葉にし、被爆当時が描かれた絵も見せた。沈痛な表情で聞き入る歴代受賞者たち。高橋さんは、涙を流し「核兵器のない世界の実現のため、広島から世界にメッセージを発信してほしい」と締めくくった。

 会場は拍手に包まれた。歴代受賞者6人は高橋さんと固い握手を交わした。その一人、米国の地雷禁止運動家ジョディ・ウィリアムズさんは「心に響いた。核兵器保有国の政府に強い怒りを覚える。こんな悲劇を二度と見たくはない」と語気を強めた。

 高橋さんは「死んでいった友にはなむけができた。核兵器廃絶への思いは十分に伝わった」と確信していた。

(2010年11月13日朝刊掲載)

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