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「劉暁波氏の解放を」 サミット参加のウアルカイシ氏がアピール

■記者 金崎由美

 広島市南区のホテルで12日に開幕したノーベル平和賞受賞者世界サミットに、中国・天安門事件の元学生運動指導者ウアルカイシ氏が出席した。今年受賞する中国の民主活動家劉暁波氏=服役中=の代理として、「劉氏が出席していたら核兵器廃絶の支持を明確に述べていただろう」と発言した。

 劉氏とは北京師範大で師弟関係にあり、天安門事件ではともに民主化運動を先導したウアルカイシ氏。「暴力のない世界・安全保障に核兵器は必要か?」をテーマにした第2セッションの冒頭で発言した。大学では、劉氏から「非暴力と理性」の重要性を繰り返し説かれたと明かした。

 サミットでは劉氏のメッセージを読み上げる予定だったが、連絡が取れないままだったという。出席者に「国際社会の責任あるメンバーになるよう中国に働きかけてほしい」と訴え、劉氏の無条件解放を要求した。

 ウアルカイシ氏はまた、チベット仏教の最高指導者で旧知のダライ・ラマ14世ともサミット会場で再会。「久しぶりですね」と笑顔で言葉を交わした。記者会見したウアルカイシ氏は「ダライ・ラマ氏とはともに、中国政府から敵視されながら対話の重要性を訴えている。これからも連携していく」と話した。

 サミットでは、核兵器廃絶とともに、中国の人権問題へのアピールにも関心が集まる。サミットの共同議長を務めるベルトローニ前ローマ市長は、14日に発表する最終宣言で、劉氏をめぐる中国の人権問題を「必ず盛り込む」との意向を示している。

(2010年11月13日朝刊掲載)

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