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サミット開幕 「ヒロシマの遺産―核兵器のない世界」をテーマに議論

■記者 金崎由美

   ノーベル平和賞受賞者世界サミットが12日、広島市南区のグランドプリンスホテル広島で開幕した。ローマのサミット事務局が主催し、日本での開催は初めて。歴代受賞者や受賞団体の代表者たちが被爆地に結集し「ヒロシマの遺産―核兵器のない世界」をテーマに議論。14日に平和記念公園(中区)で最終宣言を発表する。

 開会式で、元原爆資料館長で被爆者の高橋昭博さん(79)が壮絶な被爆体験を語り、核兵器廃絶へのリーダーシップを発揮するよう、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ?世たち受賞者に訴えた。  三つのセッションで議論した。「ヒロシマの遺産」では、南アフリカのデクラーク元大統領が自ら核兵器の放棄を決断した経験から「他の国でも可能」と強調した。別のセッションでは、米国の地雷禁止運動家のジョディ・ウィリアムズ氏が「市民が動かなければ核兵器廃絶は実現しない」と呼び掛けた。

 今年受賞する中国の民主活動家劉暁波氏ー服役中ーの代理として、天安門事件での元学生運動指導者ウアルカイシ氏が出席し、釈放を求めた。自宅軟禁が続くミャンマーの民主化運動指導者のアウン・サン・スー・チー氏の代理人も、解放を求める声明を読んだ。

 サミット2日目の13日も「核兵器のない世界に向けての進展」など三つのセッションで議論を続ける。  歴代受賞者の出席は、ダライ・ラマ氏、デクラーク氏、ウィリアムズ氏のほか、国際原子力機関(IAEA)のエルバラダイ前事務局長▽イランの人権活動家シリン・エバディ氏▽北アイルランドの平和運動家メイリード・マグアイア氏。ワレサ元ポーランド大統領は健康上の理由で欠席した。参加した受賞団体は国境なき医師団など13団体。

(2010年11月13日朝刊掲載)

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