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■2、3世の会育てる-坪井直・日本被団協代表委員

 被爆者の高齢化と減少が進む中、日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)は次世代への継承に向け大きな局面を迎えている。集団的自衛権の行使容認の閣議決定も被爆者に波紋を広げた。平和への思いや日本被団協の今後について、坪井直代表委員に聞いた。

 ―広島市は平和宣言で集団的自衛権の問題に言及しなかった
 「平和宣言は世界に向けた平和主義の発信でもある。広島の被爆者だけのことでなく、集団的自衛権の問題や世界情勢などに触れて広く提案していくべきとの思いはあった。今後、市長がどのような平和行動を取るのか注目していきたい」

 ―行政に求めることは。
 「希望的観測ではなく、核兵器廃絶に向けた具体的取り組みが必要だ。例えば米大統領の広島訪問の実現に向け、一歩でも二歩でも前進させること。頑強に刺激を与えていく」

 ―被爆者の役割をどう考えるか。
 「生きている限り、諦めず原爆の実相を語り継ぐことに尽きる。被爆者が各地に出向くのは難しくなるが、動けなければ、近所で語り部を続ければいい」

 ―被爆体験継承に向けた取り組みは。
 「これまで日本被団協は自分たちのことに必死で、後継のことまで手が回らなかった。最近は定年退職して生活にゆとりがある2世が増えている。まだ動きは鈍いが、2世や3世の会もできてきた。組織化し育てていく」

               ◇……………………◇

▽つぼい・すなお
 1925年、広島県呉市生まれ。20歳の時、通学中に爆心地から約1.5キロ地点で被爆し、全身にやけどを負った。広島県原水爆被害者団体協議会理事長を兼務。89歳。

                    (静岡新聞8月16日朝刊10面)

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