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ブラジルの被爆医療充実へ新組織設立 HICARE

■記者 門脇正樹

 広島県や広島市などでつくる放射線被曝(ひばく)者医療国際協力推進協議会(HICARE、土肥博雄会長)は5日、被爆地で研修を受けて帰国したブラジル人医師たちが情報を交換・共有するためのネットワーク組織をつくる方針を固めた。高齢で来日できない現地の被爆者への医療の充実が狙い。サンパウロ市で19日、設立に向けた関係者の初会合を開く。

 HICAREは1991年4月から、サンパウロ市のサンタクルス病院や日伯友好病院など、ブラジル国内の4機関から計29人を研修生として広島市に招き、広島大病院や放射線影響研究所などで放射線被害の実態や治療技術を伝えてきた。事務局によると、研修生のOBは帰国後、病院幹部や大学教授、政府高官などとして活躍している。

 しかし、互いに面識はなく、この17年間で持ち帰った新旧のノウハウが医療現場などで十分発揮されていない面もあるという。在ブラジル被爆者(2007年3月時点で約160人)たちへの治療レベルの底上げを図るため、交流組織づくりに向けて4月から準備を進めていた。

 初会合では、電話番号や電子メールなど連絡網作りや現地事務局の設置を提案する予定。長崎県、長崎市などでつくる「長崎・ヒバクシャ医療国際協力会」(NASHIM)の研修生OBにも参加を呼び掛けているという。

 初会合に出席する土肥会長は「海外で原爆被爆者らの治療に当たる研修生OBは、われわれの財産。連携の幅を広げ、その財産にいっそうの磨きをかけたい」と話している。

(2008年6月6日朝刊掲載)

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