平和賞サミットスピーチ要旨
10年11月18日
■記者 二井理江、馬上稔子
ノーベル平和賞受賞者世界サミットは最終日の14日、平和記念公園で、歴代受賞者6人と広島市の秋葉忠利市長、広島県の湯崎英彦知事がスピーチした。主な内容は次の通り。
(2010年11月16日朝刊掲載)
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ノーベル平和賞受賞者世界サミットは最終日の14日、平和記念公園で、歴代受賞者6人と広島市の秋葉忠利市長、広島県の湯崎英彦知事がスピーチした。主な内容は次の通り。
南アフリカ共和国 デクラーク元大統領
地域紛争やテロ、意図しない核の使用など世界は今、いろいろな脅威に囲まれている。今回の話し合いで、核兵器は基本的に非合法で道徳に反すると確認した。広島は私たちにとって聖なる場であり、核兵器のない世界を目指す模範的役割となることを称賛する。 北アイルランドの平和運動家 メイリード・マグアイア氏
核兵器のない世界に向け広島が、どう努力すべきか道筋を示してくれていることに感謝する。子どもたちに暴力のない世界を大きな遺産として残すことは夢ではない。一人一人が心をこめ、平和と、戦争なき武器なき世界に向け歩みを進めていけば実現するだろう。 国際原子力機関(IAEA) エルバラダイ前事務局長
人類は人種、肌の色、宗教の違いに関係なく一つの家族である。対決でなく協力に基づいた世界。人間の命の尊厳と神聖さに配慮した世界。人々の間の違いを戦争でなく他の方法で解決していこうとする世界にするよう、みんなで力を合わせよう。 米国の地雷禁止運動家 ジョディ・ウィリアムズ氏
クラスター弾や地雷禁止運動では、市民の力で政府の兵器を取り上げる快挙を成し遂げた。核兵器も私たちの力で廃絶できる。核で世界を脅かし、権力の亡者となっている数カ国の政府に私たちの声に耳を傾けさせるのだ。ノーベル平和賞受賞者も協力する。 イランの人権活動家 シリン・エバディ氏
広島を訪れるたび、悲しみが重くのしかかる。同時に皆さんの許しの気持ちに称賛の思いを持つ。復讐(ふくしゅう)ではなく、再建にエネルギーを使ったからこそ広島の美しい都市ができた。世界は皆さんから学ぶことができる。平和な世界にするために持てる力を出し切れるよう励みたい。 ダライ・ラマ14世
広島、長崎の心は広がっている。だが、世界中に届けるには今後も努力が必要だ。世界は、政府ではなく人々に属する動きが出てきた。今ある問題は、それをつくり出した人間が解決するしかない。宗教の違いを超えた行動で政府の決定を変える必要がある。 秋葉忠利広島市長
被爆者は人類と核兵器は共存できないと訴え続けてきた。憎しみや暴力の連鎖を断ち、和解が必要と世界に発信してきた。2020年までに戦争、暴力、飢餓、貧困、環境破壊のない世界をつくることができると信じる。それは核兵器が過去の遺物とされる時代だ。 湯崎英彦広島県知事
核兵器のない平和な世界を実現するためには核兵器廃絶、平和構築と復興、核抑止に代わる新たな安全保障体制という三つの課題がある。それに対し、理論、実践、メッセージの発信という三つの行動が求められている。サミットの成功で新たな一歩を踏み出せた。(2010年11月16日朝刊掲載)
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