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原爆の惨状 次代に継承 笠岡在住の2被爆者 地元で「語り部の会」 核兵器の廃絶を訴え

 原爆被爆者が体験を語る語り部の会が笠岡市横島の横島会館であった。同市在住の2人が、原爆投下直後の広島市の惨状を伝え、核兵器廃絶を訴えた。(谷本和久)

 横島、入江、美の浜の住民でつくる横江・美の浜まちづくり協議会(斉藤秀良会長)が主催。笠岡市内の被爆者は現在64人で15年前の半数に減っており、原爆の恐ろしさを語り継ぐため初めて開いた。住民約50人が参加した。

 県原爆被爆者会の会長を務める同市富岡の土屋圭示さん(86)は原爆投下時、江田島の水上特攻基地にいて、きのこ雲を目撃。午後から広島へ入って被爆した。自ら描いた絵を見せながら、「被爆者に水を飲ませると、頬の筋肉が垂れてしまっていた。病院の前には力尽きた多くの遺体があった。核兵器の廃絶、それが被爆者の思い」と訴えた。

 横島の三宅浅野さん(88)は広島駅に勤務し、当日は休暇で笠岡におり夕方、広島に入った。「死んだ母の乳を飲もうとしている幼児や油をかけて燃やされる多くの遺体の光景が今も頭から離れない。二度とあってはならない」と語気を強めた。

(2014年9月3日朝刊掲載)

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