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社説・コラム

『記者縦横』 再生エネ 好循環に期待

■山口支局・門戸隆彦

 山口県内で森林資源が脚光を浴びている。戦後植林された人工林の多くが利用期を迎える中、間伐や製材の過程で出る未利用材を、木質バイオマス(生物資源)発電などの燃料として活用する動きが軌道に乗り始めているからだ。

 中国電力が3日発表した、防府市鐘紡町のカネボウ防府工場跡地での石炭と木質バイオマスの混焼発電所の新設計画。年に約4万トンの間伐材などを県森林組合連合会(山口市)がチップにして提供する計画に、その実感を強めた。2018年度に稼働すれば搬出される未利用材は増え、森林整備や雇用拡大につながる。

 県内では上関原発(上関町)の建設計画をめぐり、反対運動が続く。新たな計画には未利用資源の活用や二酸化炭素(CO2)削減で地域に貢献する狙いもあるようだ。07年から混焼発電に取り組む新小野田発電所(山陽小野田市)に未利用材の提供を続ける県森連との信頼関係があることも大きい。

 林業の現場では、既に需要に生産が追い付いていない状況と聞く。ペレットボイラーなどの燃料としての供給も増えており、昨年度のペレットの販売量は706トンで過去最高だった。

 林業の担い手確保も課題だ。県と県森連は広域作業道を設けたり、大型機材を導入したりして搬出コストを下げる支援も続ける。収益が上がれば林業を志す人が増え、山の再生が進む。再生可能エネルギーの活用がもたらす好循環に期待したい。

(2014年9月5日朝刊掲載)

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