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原爆で廃校の大手町国民学校 最後の同窓会

■記者 山本堅太郎

 原爆投下で広島市中心部にあった校舎が壊滅し、廃校となった大手町国民学校の同窓生が21日、広島市中区の県民文化センターで同窓会を開いた。半世紀にわたり続けてきたが、高齢化もあって今年で最後となった。

 参加者は「お元気そうで」と手を取り合って再会を喜んだ。70~80歳代の27人。1959年の発足以降、最も多かった80年代の4分の1になった。みんなで記念写真を撮り、校歌を斉唱した後、原爆で亡くなった恩師や級友を悼み黙とうした。

 広島原爆戦災誌によると、同校は爆心地から約1.1キロにあり、校舎は全壊した。児童35人が死亡、181人が行方不明や連絡不能となった。一方で、少なくとも580人は集団疎開などで直爆を免れた。

 「最後の同窓会」に訪れた井関正子さん(77)=佐伯区=は、4人の級友と旧交を温めた。爆心地から約1.5キロの鶴見町で学徒動員中に被爆。瓦を拾おうとしゃがみ込み、熱線の直撃を免れた。「友人と再び引き合わせてくれたのが同窓会。感謝の言葉しかありません」と語った。

 高齢化に加え、事務局の担当者が体調を崩し、同窓会は幕を閉じることになった。それでも、毎年8月6日に大手町の校舎跡で開いている慰霊祭は、継続することを確認し合った。

(2010年11月22日朝刊掲載)

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