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東電と国を賠償提訴 広島地裁に原発避難者

 東京電力福島第1原発事故で避難生活を余儀なくされ精神的な苦痛を受けたとして、広島県内に避難している11世帯計28人が10日、東電と国を相手に1人当たり1100万円の損害賠償を求めて広島地裁に提訴した。弁護団によると、岡山や福岡など全国18地裁・支部で計約7千人が同様の訴訟を起こしている。

 訴えたのは福島県からの避難者26人と、埼玉県と東京都から避難した各1人。うち1世帯の5人が福島県飯舘村の避難指示区域からの避難者という。28人のうち未成年者は11人。

 訴状では、津波や地震の知見の進展に伴い、東電は遅くとも2006年には同原発事故を予見できたのに対策を怠ったと主張。国も原発の安全指針を改めず、東電に改善を命じないで放置したとし、放射線による健康不安などで精神的苦痛は甚大と訴えている。

 弁護団と原告は提訴後、広島市中区で記者会見。福島市から廿日市市に避難している女性(39)は「福島で大切に育んだ生活や仲間を失った。誰も二度と同じ思いをしてほしくない」と語った。福島県郡山市から広島市中区に移り住み、原告の一人でもある石森雄一郎弁護士(35)は「両親と離れ、苦渋の決断で広島に来た」と胸中を明かした。追加提訴を予定しているという。(胡子洋)

(2014年9月11日朝刊掲載)

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