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核兵器廃絶の訴えに力 平和七人委 新たに作家辻井さん 東京

■記者 岡田浩平

 核兵器廃絶を訴える国内の文化人、知識人でつくる「世界平和アピール七人委員会」は、4月に亡くなった作家井上ひさしさんの後任に作家の辻井喬さんを迎えた。新しい顔ぶれとなって初の講演会がこのほど都内であり、辻井さんらは発足以来の一貫した人道、平和主義の訴えに力を込めた。

 「武力によらない平和を」と題した講演会には約500人が参加した。辻井さんが最初に登壇。「唯一の被爆国として、核兵器が生まれた以上、戦争をしてはいけないと訴える資格があるのに、指導者は行使するのが好きでない」と政府を皮肉り、米国の「核の傘」の下で核兵器廃絶を訴える「矛盾」も指摘した。

 ほかの委員は、写真家の大石芳野さん▽国際政治学者の武者小路公秀さん▽元長崎大学長の土山秀夫さん▽翻訳家の池田香代子さん▽宇宙物理学者の池内了さん▽元日本物理学会長の小沼通二さん。「安全保障とは敵を作らないこと」「在日米軍基地問題は沖縄の立場で考えて」。約3時間、7人が意見表明し討議した。

 七人委は1955年に故湯川秀樹氏らが創設し、これまでに核兵器問題を中心に103回のアピール文を発表。今年8月には、長崎市を訪れた国連の潘基文(バンキムン)事務総長に、土山さんが直接、核兵器廃絶に向けたリーダーシップへの期待を伝えた。

 事務局長を務める小沼さんは「核兵器廃絶のチャンスが来た時に必ずつかめるよう、小さくても後戻りしないステップを踏み続けたい」と世界中の世論喚起へ発信力を強める構えだ。

(2010年11月25日朝刊掲載)

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