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ウィーン会議  核兵器の規範が議題  法規制 世論高まる

 オーストリア・ウィーンで12月8、9両日にある核兵器の人道的影響に関する3回目の国際会議で、核兵器に関わる現行の国際規範が初めて取り上げられることが12日、分かった。核兵器禁止条約の締結を求める国際世論の高まりを受けた議題設定とみられる。核兵器保有国は、法規制の動きを警戒しており、会議の成り行きが注目される。(田中美千子)

 主催するオーストリア外務省が、ホームページ上でプログラム案を公表した。四つの議題の一つが「国際規範の概観と核兵器の人道的影響」。核爆発による環境や人体への影響を防ぐのに、国際法のどのような規範が働きうるか、専門家が発表する。国際人道法や、既存の軍縮・軍備管理などの枠組みに考慮されている人道的要素についても討議する、としている。

 この問題に詳しい非政府組織(NGO)ピースボート(東京)の川崎哲共同代表は「注目に値する。既存の規範では核兵器の人道的影響を食い止められないとの結論が導かれ、新たな法的枠組みに向けた議論が進展する可能性がある」とみる。ただ「核に頼る国々を取り込むのを狙って、議題を慎重に設定しているため、その国々が『既存の核軍縮の進め方でいい』と主張できる」とも指摘する。

 議題案は他に、核爆発が人体や気象、社会経済などに及ぼす影響▽核爆発を誘発しかねない人為的、技術的な要因▽核爆発が起きた場合のシナリオ―がある。全ての議題を終えた9日午後は一般討論に当て、議長総括を発表して閉幕する。

 会議は核兵器の非人道性をてこに核軍縮を推し進めたい各国が順次開催。昨年3月のノルウェー、ことし2月のメキシコに続き、3回目となる。核兵器保有5大国は一度も参加していない。日本政府は過去2回に続き、参加を既に表明している。

(2014年9月13日朝刊掲載)

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