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故永井博士の人生を市民劇に 放射線医療に尽力 「もっと知って」40人が稽古に熱 

 長崎で被爆し、放射線医療などに尽力した故永井隆博士の一生を描いた市民劇「Takashi」が14、15日、島根県雲南市木次町のチェリヴァホールである。雲南市で育ち、市に縁の深い博士を広く知ってもらおうと、2010年から市民劇を上演する市内の実行委員会が、5回目の公演の主題に選んだ。(秋吉正哉)

 12日夜、同ホールであった練習には、同市を中心に公募で集まった7歳から60代までの出演者約40人が、2時間余りの脚本を通しで演じた。5月から週2回の稽古を続け、公演直前は週4回にペースを上げた。

 博士を知らなかった人々が、生涯や放射線医療に尽力する姿に触れ、「如己(にょこ)愛人」を掲げて平和を願う思いに理解を深めていくストーリー。脚本・演出を担当した三刀屋高掛合分校の亀尾佳宏教諭(41)=同市三刀屋町=は「博士が残した言葉を、言葉が生まれた背景と一緒に描きたかった」という。

 博士役の会社員福本克大さん(28)=同町=は今月10日、広島市中区の原爆資料館を訪れた。「博士が原爆投下後の惨状を見て述べた言葉がリアルに感じられ、役への理解が進んだ」といい、「博士をもっと知りたいと思われるような演技をしたい」と意気込む。

 14日は午後6時、15日は午後1時と同5時開演。県芸術文化センター・グラントワ(益田市)でも21日に上演する。入場料は一般2千円、高校生以下千円。同ホールTel0854(42)1155。

永井隆博士
 1908年、松江市生まれ。09年、旧三刀屋町(現雲南市)に移り、幼少期を過ごす。32年、長崎医科大(現長崎大医学部)を卒業後、放射線医学の研究に取り組む。45年8月9日、長崎市で被爆。51年に43歳で死去するまで、被爆者の治療や平和を訴える執筆活動を続けた。主著に「長崎の鐘」「この子を残して」など。

(2014年9月14日朝刊掲載)

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