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平和教育 カンボジアで生かす 政府職員が戸坂小(広島)見学

 カンボジア教育・青年・スポーツ省の職員7人が広島市東区の戸坂小を訪れ、市教委が進めている被爆地での平和教育プログラムに基づく授業を見学した。メンバーは、カンボジアでの持続可能な社会づくりのための教育改善プロジェクトの研修第1弾として、広島県に招かれた。

 戸坂小では、6年生の授業を見学。「平和なまち」とはどんなまちかをテーマに、児童たちは4人ずつのグループに分かれて話し合った。「子どもたちが安全に外で遊べる」「争いがない」「事件や事故がない」など、まず各自が家族や地域の人に質問して得た答えを示し、グループごとに平和なまちのイメージをまとめ、発表した。

 担任の古川真由美教諭は、けんかや戦争など暴力がない▽思いやりの気持ちを持つなど心が満たされている▽家や食べ物など物がたくさんある―大きく分けてこの三つがそろっていると指摘。その上で児童一人一人が、平和なまちについて自分の考えや何ができるかを書くように呼び掛け、順番に読み上げさせた。

 授業見学に先立ち、同校の島本靖校長が1年間の行事など学校の概要について説明。学年ごとの映画観賞会や、平和集会で被爆者の証言を聞くなど平和教育の取り組みにも触れた。

 メンバーは授業見学の後は、6年生と一緒に給食を食べた。午後からは県庁でワークショップを実施。市教委勤務時に平和教育プログラムの策定に携わった比治山大の森川敦子准教授の進行で感想を述べ合い、帰国後にどうやって平和教育のカリキュラムを作るかなどについて意見を交換。理解を深めた。チューン・チェンハックさん(42)は工夫された教材に感心し、「児童を中心に活発に授業を進める方法が母国で参考になる」と話していた。

 メンバーは4~19日、広島に滞在。県内の小学校で歴史・文化遺産、環境保全の授業を見学するなどし、平和教育も含めた「持続可能な開発のための教育」(ESD)について学んでいる。(宮崎智三)

カンボジアでの教育改善プロジェクト
 「持続可能な開発のための教育」(ESD)の視点も盛り込み、カンボジアでの持続可能な社会づくりのための教育改善を図るのが狙い。広島県が進める「国際平和拠点ひろしま構想」の一環として、県を中心に約3年かけて取り組んでいる。

(2014年9月15日朝刊掲載)

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