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被爆医療の国補助半減 概算要求 差額は自治体負担

■記者 岡田浩平

 お年寄りに占める被爆者の割合が高い自治体の医療費の負担軽減に、国が広島、長崎の2県と5市町に交付している補助金が、来年度予算案の概算要求で本年度の半額に削減された。被爆者本人に影響はないが、国の厳しい財政のしわ寄せが地方にきた形だ。広島県は26日、本年度並みの予算確保を求めた。

 「老人保健事業推進費等補助金(原爆分)」は1982年度、老人保健法の施行で被爆者の老人医療費に新たに自治体の負担が生じたため「激変緩和措置」(厚生労働省)として設けられた。

 1997、98年度の総額35億5千万円をピークに年々減少。2008年度に後期高齢者医療制度へ移っても補助金は残ったが、2010年度は前年度より3億円減の15億8700万円。2011年度の概算要求は、各省庁一律の歳出削減で半額の8億円になった。

 2010年度は最多の広島県で5億5400万円、広島市は3億5800万円、坂町が719万円の補助金があったが概算要求通りならほぼ半額になる。差額はいずれも各県、市町の負担になる。

 広島県は26日に東京都内で国会議員を対象に開いた予算編成に向けた提案説明会で「将来にわたる十分な財政措置」を要望した。医療保険課は「被爆者のしっかりした援護のため現状維持を」と求めている。

(2010年11月27日朝刊掲載)

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