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社説・コラム

旬なひと 岡山ESD推進協議会会長・青山勲さん 世界会議で活動を発信

 将来にわたって安心して暮らせる社会づくりを担う人材を育てる持続可能な開発のための教育(ESD)に関する国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界会議が10、11月、岡山市内で開かれる。岡山ESD推進協議会の青山勲会長(72)に、世界会議の意義や今後の活動の方向性を聞いた。(永山啓一)

 ―ESDが必要とされるのはなぜですか。
 環境破壊が顕在化した1980年代に経済と環境の両立を図ろうとする考え方が広まった。地球レベルの問題を身の回りのことから考え、行動できる人材を育てようと、日本の政府や市民団体が10年ほど前に提唱した。

 ―英語の頭文字からは具体的な取り組みが想像できません。
 分野は環境や人権、平和、防災など多岐にわたる。小学校では身近な自然環境を学ぶことから始めるケースが多い。そして、いまの生活が将来にわたって持続可能であるかどうかを考え、問題点や改善策を考えることにつなげている。

 ―岡山市の活動の現状を教えてください。
 公民館がESD活動の中心になっている。2005年に19だった活動団体は現在、市内の全37公民館を含め、学校、市民団体、企業など200団体を超えている。

 ―どんな取り組みがありますか。
 いち早く活動を始めた京山地区(北区)は地域の川の水質や生物の観察をしたり、行政に働き掛けて用水路に親水空間をつくったりしている。近くの大学には留学生も多く、国際交流にも活動の範囲を広げている。

 ―世界会議の意義をどう捉えていますか。
 ESDへの理解が国内でも十分に広まっているとはいえない。岡山の活動を世界に発信するチャンスであり、その責任も大きい。

 ―世界会議後のESD活動の方向性をどう考えていますか。
 従来は考え方を普及させるイベントが中心。今後は住民が実際に地域の課題を出し合い、具体的に解決していく実践的な取り組みが必要になる。現実の社会は持続可能な方向に進んでいるとは言い難い。世界会議では今後の行動目標を明確にしなければいけない。

あおやま・いさお
 京都市出身。京都大大学院工学研究科博士課程修了。岡山大農業生物研究所助教授、同大資源生物科学研究所教授、同大副学長などを経て2008年に定年退職。05年から岡山ESD推進協議会会長。岡山大名誉教授。専門は環境科学。

(2014年9月15日朝刊掲載)

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