閣僚に聞く 竹下亘・復興相
14年9月18日
地方創生は被災地から
―東日本大震災の被災地を視察した印象は。
岩手、宮城両県では、高台移転や工場再建などが本格化しているが、福島第1原発事故の影響が大きい地域では、復興への道はあまりに遠い。
福島県と双葉、大熊両町に苦渋の決断で(除染廃棄物を保管する)中間貯蔵施設の受け入れを表明してもらった。道筋は見えてきたが、厳しい状況は続く。10月1日には川内村の避難指示解除準備区域が解除されるが、避難住民が帰還しても復興は終わりではない。一人一人に寄り添うのが大事で、心のケアなどソフト事業が重要になる。
―国が総額25兆円の予算枠を確保した集中復興期間が来年度で終了します。
集中復興期間が終わるまでに事業を検証し、その後の復興をどういう方向で進めていくかを考えなければならない。2016年度以降の財源を答えられる状況ではないが必要な事業はやる。最後まで復興をやり遂げるのが前提だ。
―政府は原発再稼働を進めています。
国内製造業を支えるためにも、「世界一厳しい」規制基準で安全性を確認し、地元が了解した原発は再稼働させる政府方針に賛成だ。地元の理解を得るためにも、避難体制の整備を国として支援していく。
―安倍政権が最重要課題とする地方創生の中で、復興をどう位置付けますか。
被災地の多くは私の地元島根県と同じく過疎に悩む地域。被災地が古里を取り戻すことは地方創生そのものだ。安倍晋三首相の言うように被災地を地方創生のトップランナーにしたい。
―兄の故竹下登元首相も当選5回で初入閣しました。
兄は47歳で入閣し、67歳の私と年齢で大きな違いがあると自覚している。だが、自分の仕事は兄と同じく田舎を元気にすること。田舎の良さも苦しさも知っている地方代表として、復興の仕事に全力を尽くす。(聞き手は坂田茂)
(2014年9月18日朝刊掲載)