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社説・コラム

美術散歩 被爆建物 「志」が共鳴

◎ヒロシマアートドキュメント2014 25日まで。広島市中区袋町、旧日本銀行広島支店

 国内外の作家による現代美術展。日本やフランスで活動する5人が、被爆建物を舞台に多彩なメッセージを発している。

 ロドルフ・ユゲ(フランス)の「WaterWar(1)2010/2014」のシリーズは、貴重な資源「水」をめぐる「戦争」を描く。化石化したペットボトルの石彫や大量に捨てられたペットボトルのオブジェを布に転写、空間に配している。

 田嵜(たさき)裕季子(茨城県つくば市)「いのちに触れる」は、福島第1原発事故で取り残されたペットの救出劇がテーマ。犬の写真や国内外のボランティアたちの映像に囲まれたケージには、ふわふわとした白い風船。生命の重みを静かに伝える。パリ在住の鈴木輝久は、空き缶に穴を開けたピンホールカメラを集めた「CAN」。フランスのクレマン・デロムとジェレミー・レッダは映像作品を出展している。

 ヒロシマから新たな芸術の発信をと、クリエイティヴ・ユニオン・ヒロシマ(伊藤由紀子代表)が1994年から主催し、今回で21回目。企画者と作家たちの志が空間に共鳴している。27日まで。=敬称略(森田裕美)

(2014年9月19日朝刊掲載)

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