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原爆症認定 検討会9日初会合 厚労相の諮問機関 制度見直しへ議論

■記者 岡田浩平

 細川律夫厚生労働相は30日、私的諮問機関「原爆症認定制度の在り方に関する検討会」の初会合を9日に省内で開くことを正式に発表した。被爆者援護法の改正を視野に認定制度の見直し策を議論する。

 メンバーは14人で日本被団協から坪井直代表委員(広島県被団協理事長)と田中熙巳(てるみ)事務局長が名を連ねる。社会保障や放射線防護学の専門家に加え、広島市の三宅吉彦、長崎市の智多正信両副市長も入る。座長には、過去にも原爆関連の同省の検討会座長を務めた森亘・元東京大学長を充てた。初会合では厚労省側が被爆者対策の概要を説明し、今後の議論の進め方などを協議する。

 原爆症をめぐっては、国に認定を求める集団訴訟で原告勝訴が続き2008年に認定基準が緩められた。しかし現行基準でも国に認定されない原告の勝訴などを受け、さらなる改善を求める声が強まり、菅直人首相は今年8月に「法律改正による原爆症認定制度の見直しを検討する」と表明した。

 ただ、原爆被害への国家補償を求める被団協と、放射線被害への援護を強調する国の姿勢とは隔たりがある。対象とする病気の種類や被爆地点、入市日時といった認定基準だけでなく、「原爆症」の捉え方についてどこまで検討会が踏み込むか不透明だ。

 被団協の田中事務局長は「原爆被害全体を償うという視点で議論しない限り抜本改正にはつながらない」とけん制している。

(2010年12月1日朝刊掲載)

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