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安芸南高放送部ビデオ 県高校文化祭で栄冠 被爆者ら取材

■記者 澄田真

 広島市安芸区の安芸南高放送部が制作したビデオ作品「よみがえる~失われた街の記憶~」が、県高校総合文化祭のビデオメッセージ部門で最優秀賞に輝いた。原爆で壊滅した街並みをコンピューターグラフィックス(CG)で再現した映像作品の制作者や元住民の思いに迫っている。

 ビデオ作品は5分の短編。来年8月に福島県である全国高校総合文化祭に出品される。

 題材にしたのは、同市の旧中島地区(現中区の平和記念公園)をCGでよみがえらせた映像作品「『ヒロシマからの伝言』~原爆で失ったもの~」。制作の総指揮を執った田辺雅章さん(72)=西区=や元住民を取材した。

 「映画で地域をしのびたい」「町の記憶を消してはならない」との声と、CG映像や被爆前後の写真を重ね合わせて編集した。田辺さんの「公園の下には数千人が眠る。供養の心で公園を訪ねてほしい」との言葉で結ぶ。

 部員が9月、試写会を見て、失われた街に寄せる元住民の思いにひかれて企画。1、2年の6人が1カ月余りで制作した。「全国総合文化祭までに手直しし、元住民たちの思いがより伝わる作品にしたい」と森早貴子部長(17)。田辺さんは「平和への願いを継いでくれうれしい」と話す。

 同部は昨年の全国総合文化祭でもオーディオピクチャー(静止画)部門で、ステンドグラスで作られた原爆ドームの模型をめぐる交流をテーマにした作品で優秀賞を獲得している。

(2010年12月2日朝刊掲載)

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