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「戦争と島根」 記憶未来へ 松江の被爆3世 小林さんが企画展 平和考える機会に

 被爆3世で島根大事務職員の小林奈緒子さん(36)=松江市雑賀町=が、同大付属図書館(同市西川津町)で、地元に残る戦争の記憶を伝える企画展を開いている。10月5日まで。長崎で被爆した祖母の体験を聞いたのをきっかけに、終戦直後の戦災者の研究を始めた小林さんが「平和を考える機会になれば」との思いを込めた。(秋吉正哉)

 同市に陸軍第63連隊の駐屯地が置かれた経緯など、日清戦争以降の戦争と島根の関わりを8枚のパネルで説明。戦後中国で戦犯管理所に収容された旧日本軍将兵たちでつくる「山陰中国帰還者連絡会」の会報や、戦争責任に関する専門書など約100点も並べた。

 小林さんの祖母原トメさん(2001年、85歳で死去)は、長崎市小江原で被爆。「幼い頃から祖母の被爆体験を聞いて育った」と話す小林さんは「祖母は『ものすごい光と風に驚き、近くの溝に隠れた』と話していた」と振り返る。1996年に入学した同大で長崎の被爆者について講義を受けたのを機に、祖母の体験にあらためて関心が深まり、長崎の戦災者組織を卒業論文のテーマに選んだ。

 小林さんは現在、同大職員として勤務の傍ら、戦災者組織の活動などを研究。聞き取りなどを通して、戦争の記憶を未来に伝える活動をしている。

 同会の世話役でことし3月に92歳で亡くなった松江市の難波靖直さんから、同図書館が昨年、資料の寄贈を受けたのをきっかけに企画展を開いた。戦後70年の来年には新たな企画展も計画する。小林さんは「今この時代だからこそ、平和の意味を考える機会を提供したい」と話している。

 無料。9月28日は閉館。10月3日午後6時から、小林さんのギャラリートークがある。

(2014年9月28日朝刊掲載)

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