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「なかなか出ぬ傑物」 「人情味あふれる人」 土井たか子氏死去 中国地方関係者

 社民党の元党首、土井たか子氏の訃報が伝わった28日、中国地方の関係者たちにも驚きと悲しみが広がった。「護憲のシンボル」としても活躍した「マドンナ」を懐かしみ、平和への思いを受け継ぐ決意を新たにした。

 社民党広島県連合の金子哲夫前代表はこの日の報道で悲報に接し、「体調が悪いと聞いていたが、残念だ」と悼んだ。2005年4月に衆院憲法調査会が9条改正を含む憲法改正を明示した最終報告書をまとめた際、委員だった土井氏と護憲の立場から党の意見をどう伝えるか頻繁にやりとりしたという。「集団的自衛権の行使を容認した今の政治状況にじくじたる思いがあったろう。護憲を訴えてきた土井さんにもっと発言してほしかった」

 「平和憲法を基盤にした立憲政治そのものが危機に陥っている時代に世論をリードする役割を期待していた」。秋葉忠利前広島市長も残念がる。衆院議員時代は党政審会長として土井党首を支えた。今、集団的自衛権の行使容認に反対する活動を続けており「残された私たちが大きな責任を持つ」と意を強くする。

 土井氏は女性初の衆院議長に就き、1995年8月6日に広島市での平和記念式典にも参列した。政治家としての強い指導力をたたえる声も相次いだ。

 党広島県連合の檀上正光代表は「厳しい面もあったが、周囲に気配りができる人情味あふれる人だった」。党山口県連合の佐々木明美代表も「堂々とした態度の迫力ある演説に圧倒された」と振り返った。元衆院議員の吉原米治さん=大田市=は土井さんと同世代。5期13年の議員生活の大半を同じ東京・赤坂の議員宿舎で過ごした。「とにかく決断が速かった。あれほどの傑物はなかなか出てこないだろう」と惜しんだ。

(2014年9月29日朝刊掲載)

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