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命名権導入に異論 「江波山気象館は被爆建物」 広島市議会

 広島市議会の総務委員会で29日、江波山気象館(中区)を命名権の売却対象に加えることに、反対意見が出た。被爆建物であり「売らない方がいい」との主張。市は「名前が変わっても施設の特性に問題はない」と反論し、平行線をたどった。結局、同館など計77施設に命名権を導入する条例改正案は、賛成多数で原案通り可決された。

 江波山気象館は、1934年に広島測候所として完成した鉄筋2階建て延べ640平方メートル。爆心地の南南西約3・6キロにある。戦後、広島地方気象台として使われた後、市が国から引き取り、92年に江波山気象館としてオープン。2000年に市重要有形文化財に指定した。13年度は5万3550人が訪れた。

 こうした経緯を踏まえ、市政改革ネットワークの藤田博之氏(佐伯区)が「被爆建物は数少ないので売却すべきではない。財源確保のためでも配慮がない」と指摘した。これに対し、市民局は、原爆ドーム(中区)など象徴的な建物や、利用者が限られる学校などを除いて積極的に命名権を導入する方針を強調。江波山気象館に関しては「被爆建物というだけで対象から外す議論はしていない」と述べた。

 また、市財政局は命名権料の下限額を年100万円程度とする考えを示した。条例改正案の採決は、委員長を除く8人のうち7人が賛成した。(川手寿志)

(2014年9月30日朝刊掲載)

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