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安芸区で被爆体験聞く 追悼祈念館が執筆補助事業

 広島市中区の国立広島原爆死没者追悼平和祈念館の職員2人が30日、安芸区の被爆者森永ヨシコさん(88)方で、69年前の記憶を聞き取った。自ら手記を書くのが難しい人に代わって体験記をまとめる事業の一環。

 森永さんは19歳の時、勤務していた広島駅(現南区)の事務室内で点呼中に被爆した。逃げる中、顔や体を無残に焼かれた人々を目にしたといい「あの姿は頭から離れない」と語った。

 駅で別の部署にいた親友は犠牲になったという。「あの子のお母さんに『よっちゃんは元気で良かった』と言われるのが申し訳なくて、たまらなくて」と涙を拭った。

 同館は2006年度から執筆補助事業を開始。14年度は県内11人の証言をまとめ、来春から館内で公開する。森永さんは「自分ではまとめられなかったのでありがたい。戦争のない平和な世の中であってほしい」と話した。(田中美千子)

(2014年10月1日朝刊掲載)

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