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黒い雨被害 集団提訴へ 被害者連絡協 代表者会議で決定

 広島県「黒い雨」原爆被害者の会連絡協議会(高野正明会長)は3日、臨時の代表者会議を安芸太田町で開き、黒い雨被害に対する国の援護対象区域の拡大を求め、集団訴訟に取り組むことを決めた。「行政に要請するだけでは政府を動かせず、新たな行動を起こす必要がある」と判断した。

 町内の集会所で5支部の代表たち約30人が協議した。県や広島市が住民調査を基に現行の約6倍へ援護区域を広げるよう求めたにもかかわらず、国が2012年7月に見送った経緯を踏まえ、会の役員が「泣き寝入りはできない。健康被害を受けた事実を後世に残す意味でも提訴したい」と提案した。異論はなく、出席者が拍手で承認した。

 黒い雨をめぐっては、国が指定した「第1種健康診断特例区域」(大雨地域)の住民たちは無料健診の受診者証を交付され、特定の病気を患えば被爆者健康手帳に切り替えられる。一方、小雨地域など区域外で雨に遭った人に援護はなく、同協議会が13年度から訴訟を検討していた。

 今後は支部ごとに説明会を開き、年内に原告20人以上と支援者を募る。まず県や市に第1種健康診断受診者証の交付を集団申請し、却下後に提訴する方向で、詳細を詰めるという。

 高野会長は「被害をありのまま訴えても、国は『科学的根拠がない』と切り捨てる。裁判に訴えるほかない」と強調した。(田中美千子)

(2014年10月4日朝刊掲載)

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