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「人間の在り方と逆行」 大江さん広島で講演 安倍政権批判

 ノーベル賞作家の大江健三郎さんが4日、広島市中区の市文化交流会館で講演した。7月、集団的自衛権の行使容認を閣議決定した安倍政権を「戦争に参加しようとしており、原爆の経験の後、私たちが誓った人間の在り方と逆行する」と批判。「子どもたちが生き抜ける社会を守らないといけない」と訴えた。

 大江さんは冒頭、広島原爆病院(現広島赤十字・原爆病院)の故重藤文夫院長との思い出を紹介。「史上最大の暴力にさらされた一人一人と向き合い、声を聞くことを使命としていた。生き方に感銘し、影響を受けた」と語った。

 夏目漱石の「こころ」を題材に「真面目の精神」の重要性も説いた。漱石は、明治末期から急速に個人主義が浸透した社会に危機感を示していたと指摘。「広島の人間が戦争の悲惨さを真面目に考えることを、時代遅れと言う人もいるだろうが間違っている。どんな社会に生きているのか、何ができるのか、考えよう」と述べた。「原発ゼロ」に向けた行動も呼び掛けた。

 市内の被爆者や市民運動家でつくる「戦争をさせないヒロシマ1000人委員会」の主催。約1100人が訪れた。(田中美千子)

(2014年10月5日朝刊掲載)

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