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国際平和機関 広島誘致へ 有力候補地に市民球場跡

■記者 山中和久



 世界各地の紛争後の平和構築などを担う国連機関や国際機関を創設し、本部を被爆地広島に誘致することを目指す、超党派の国会議員による勉強会が20日、発足する。候補地には、原爆ドームに隣接する広島市民球場(広島市中区)の跡地も浮上。9月、同市である主要国(G8)下院議長会議(議長サミット)や福田康夫首相の演説が予定される国連総会での表明を計画している。

 20日に国会内で初会合を開く「日本に国連・国際機関等を誘致する議員勉強会」の設立発起人は、自民党の森喜朗元首相、安倍晋三前首相(山口4区)、中川秀直元幹事長(広島4区)、公明党の太田昭宏代表、民主党の鳩山由紀夫幹事長など与野党、無所属の衆参26人。高村正彦外相(自民、山口1区)も名前を連ねる。

 設立趣意書によると、日本は経済大国で国連負担金も米国に次ぐのに、国連関係機関の本部は国連大学(東京都渋谷区)などわずか。主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)の議長国を務める今年は、さまざまな国際問題でリーダーシップを発揮する好機と位置付ける。

 中でも平和構築は、紛争後の復興をはじめ、核軍縮・拡散防止や食糧、気候変動などの問題も絡む重要な課題で、実現に取り組む国際機関や国際会議を、被爆の惨禍から復興と発展を成し遂げ、世界平和に向けたメッセージを発信するのにふさわしい広島市に誘致することを目指す。

 勉強会でまとめる提言は、9月2日に同市で開かれる議長サミットの際、代表者が各国議長の前で表明するほか、福田首相が掲げる「平和協力国家」の柱として、同月末に予定する国連総会での演説に盛り込むよう首相に働き掛ける。

日本にある国連関係機関
 各機関の本部は、国連本部のある米ニューヨークやワシントン、スイスのジュネーブに集中しており、日本にあるのは国連大学(東京都渋谷区)のみ。出先の事務所は国内に28あり、うち15カ所は東京都内にある。広島市には、国連訓練調査研究所(ユニタール)アジア太平洋地域広島事務所がある。

(2008年6月19日朝刊掲載)

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