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「日本側に裁判権を」 米軍属通勤中の交通死亡事故 山口県、日米政府に要請へ

 山口県は7日、米軍の軍属が通勤中に交通事故をした場合の裁判権を日本側に引き渡すよう、日米両政府に働き掛けると表明した。米軍基地や関連施設を抱える山口、広島など14都道県でつくる渉外関係主要都道県知事連絡協議会(渉外知事会)が来夏提出する要望書への反映を目指す。

 7日の県議会総務企画委員会で、日米地位協定の改定を求める意見に対し、大谷恒雄総務部理事が「関係都道県と協議し、要望活動につながるよう努力したい」と応じた。

 地位協定は、米軍人や在日米軍で働く軍属の犯罪の第1次裁判権について、公務中は米国側、公務外は日本側と規定する。日米両政府は2011年11月、軍属が公務中に起こした事故や事件で米国が刑事訴追しない場合、日本で裁判できるよう運用を改善した。

 県は、日本の裁判権が米側の裁量に委ねられている点を問題視。軍属の通勤中の交通事故に関しては、裁判権が日本にあると地位協定に明記するよう求める。同様の訴えは沖縄県などに共通するとみて、渉外知事会で議論する。

 県内では10年9月、岩国市で米海兵隊岩国基地の軍属女性の乗用車に、市内の男性がはねられ死亡。女性は自動車運転過失致死の疑いで書類送検されたが、山口地検岩国支部は地位協定を理由に翌月、不起訴処分とした。(村田拓也)

(2014年10月8日朝刊掲載)

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