×

ニュース

毒ガスの歴史 証言生々しく 松田さん(東区)番組制作

 アマチュア映像作家グループ「広島エイト倶楽部(くらぶ)」会員で社会保険労務士の松田治三さん(78)=広島市東区=が、大久野島(竹原市)の毒ガス製造と被害者を追ったドキュメンタリー番組を制作した。これまで原爆をテーマに作品を手掛けてきた松田さんの3作目。「広島が抱える二つの負の遺産を考えてほしい」と訴える。

 番組は、毒ガス工場の従業員だった大阪府の男性(92)、動員学徒だった三原市の女性(85)の生々しいインタビューを軸に、当時の写真や島に残る工場跡の光景などを織り交ぜた。「ガス焼けの顔をした元従業員が血痰(けったん)を吐き苦しんだ」など、住民や治療に当たった医師の証言も収めた。被害者数などのデータや松田さん自身のナレーションを入れ「地図から消された島」のタイトルで19分15秒のDVDにまとめた。

 元新聞記者の松田さんは「1年がかりの取材が実り貴重な証言が得られた。毒ガスが使われた中国の被害は紹介できなかったが、無差別の大量殺人兵器という点では原爆と同じ。戦争を知らない若い人に見てもらいたい」と話している。

 番組は、同倶楽部が11月6日午後1時から広島市西区の区民文化センターで開く公開上映会で他の12作とともに上映される。入場無料。(田中伸武)

(2014年10月9日朝刊掲載)

年別アーカイブ